ローランドデジタルピアノ DP-603

ピアノメインの音楽関係

平成31年の1月からピアノを再開して、すぐに購入。

古いデジピもあったんだけど、端から使い物にはならなかったし、頼りにしていた電気ピアノも、残念ながらレッスンのための練習には使えなかった。

電気ピアノは、音を小さくしてあるというのが最大のメリットなのだが、そのメリットゆえに表現の幅が小さいというか、少ない。グランドピアノの音量が、たとえば1~10の段階で出るとすると、アップライトピアノの場合なら3~7くらいの幅でしか表現できなかったりするのだが、電気ピアノの場合は、さらに表現の幅が狭かった。感覚としては4~6くらい?だったので、適当に趣味で使う分にはそれでも何とかなったんだけど、レッスンを受けようと思うレベルの練習だと、足りなすぎた。

家で練習していた時は、自分の力加減が不安定でバラバラであっても、電気ピアノはそれが反映されず、普通に音が出てしまうので何も気づかないまま。でもグランドピアノだと、そうは行かない。ほんの少しの自分のブレも音に反映され、自分が思っているような演奏ができないし、そんなに大きく弾いているつもりも無いのに急にでかい音がでてみたり、音が大きいからと思って小さくしようとすると、今度は音が出なくなってしまうのだ。

当時習っていたピアニスト先生は、ただでさえ毎回指示がコロコロ変わって大変だったのに、さらにこの状態だと、家でいくら練習しても埒があかないので、新しいデジピなら少しは使えるかも?と思い、購入することに。

20年振りくらいのデジピ購入なので、あらかじめ自分の情報もアップデートしないとならず、色々調べたり、展示を触りに行ったりして吟味に吟味を重ねた結果、ローランドのDP-603というデジピに決定。

デジピのアクションは、昔よりさらに進化。本物のピアノアクションを真似た機構を備えているのは普通で、さらにエスケープメントという機能まで装備されている。エスケープメントは、簡単に言えばピアノを弾いたときのクリック感を再現したもの。

生ピアノの鍵盤を押し下げると、なんだかんだ有ったのちにジャックという部品に力が伝わり、そのジャックがハンマーを動かす力学上の接点になっているのだが、ジャックに伝わる力が弱すぎたりすると、ジャックとハンマーの接点がすべってしまって、鍵盤を押し下げたのに結果として音が出なくなってしまう。その時、指にはジャックとハンマーの接点がすべってしまうクリック感が伝わる。このクリック感もデジピで再現され、感覚だけじゃなく実際音も出ないのだ。なので、本物のピアノの弾き心地により近くなった。

そして、さらに進化した部分もあった。倍音がきちんと鳴るのだ。

以前からローランドは、モデリング音源と言って、サンプリングされた音をただ鳴らすのではなく、実際のピアノの響きをコンピュータで計算し、再現して音を鳴らすタイプのデジピだったのだが、これがもっと高機能になった。第二倍音とか第三倍音とかの制限なく、計算上のすべての音を鳴らしている模様。実際はすべての音じゃないかも知れないが、自分の耳では判別できないレベルで本物のピアノの響きを再現している。

本物のピアノだと、音を鳴らさないように鍵盤を押し下げておいたまま倍音構成上の他の音を鳴らすと、発音されていない押し下げたままの鍵盤の音も、倍音の仕組みでふわ~んと鳴るのだが、ローランドの高機能デジピでは、これが再現される。実際のピアノ曲(バルトークとかが有名)でも、この手法は使われることもあるので、その練習もできてしまう。これにはびっくりした。

なので、不用意にペダルを踏みっぱなしなんかにしていると、本物のピアノのように響きがぐちゃぐちゃになってグワングワンするので、聴いた感じでは生ピアノと遜色ないレベル。昔の、弾いたそばから音が消えていくデジピとは隔世の感。

そして、モデリング音源の特性を最大限に生かした機能がある。ピアノデザイナーだ。

「ピアノ・デザイナーは、ピアノの弦、ペダル、鍵盤の共鳴音など、ピアノの様々な音の要素を調節することにより、好みのピアノの音を作ることができる機能です。」-ローランドHPより

この機能により、ピアノの音色を色々変更できる。響板のタイプも選べるし、ピアノの筐体の振動レベルやら、弦の共鳴レベルやら、アクションの雑音のレベルやら、ダンパーペダルを踏んだ時にダンパーが弦から離れるシャーーンという摩擦音やら、ありとあらゆるピアノの音色要素をお好みに設定できる。

これは、ピアノの発音機構を計算して再現するモデリング音源ならでは、と言えるだろう。

この機能を使って、たとえばレッスンを受けている先生宅のピアノの音に近くなるように設定すれば、家での練習とレッスン時のピアノの違和感を軽減できるので、非常に便利。

2021年現在、ローランドのデジピの最高ランク(ピアノとたいして変わらない値段)のものは、音源や鍵盤も特別な最高ランクが搭載されているのだが、その一つ下の(というより、グレードアップされた新機構の旧世代に相当すると思われる)ランクの鍵盤と音源機構をそなえたシリーズの中で、一番お求めやすく一番省スペースな機種が、このDP-603。なので、熟慮の末、この機種を購入した。これより高い機種(最高ランク除く)との違いは、スピーカー部分だけだったりするので、いわば、コストパフォーマンスが一番良い機種と言えるのかも知れない。もともとヘッドフォンを使って深夜の練習にしか使わない予定だったから、スピーカーがしょぼくても自分としては問題ない。

で、このデジピを使って20年振りにレッスンを再開した訳だが、やっぱりデジピはデジピ。電気ピアノよりは少しマシだったが、思うような練習にはならなかった。

そして、生ピアノよりも鍵盤の衝撃を吸収する機構(生ピアノの場合、要するに厚いフェルト)が少なく?長い時間デジピを弾いていると手が疲れて痛くなってくる。鍵盤を下げた時の衝撃が生ピアノよりも大きく指に跳ね返ってくる感じ。練習終わった後、どっと疲れがやってくる・・・

さらに、音色も弾き方によって変わるということになっているのだが、強弱をつける際、たとえばディミニュエンドにしていくと、ある所から急に音色が柔らかく丸くなるのが、弾いていて判る。なので、この感じが不自然なのだ。頭では分かっていても、急に音色が柔らかくなるので、戸惑ってしまう。タッチを変えている訳では無く、単純に強弱の差しかないと思うのに、音色が変わるのはどうも、ね・・・

それに、これはローランドに限った話では無いが、いくらグランドピアノのアクション機構を真似てみたとは言っても、しょせんデジピはデジピ。鍵盤を押し下げるのに必要な力はグランドピアノよりも軽い、というか常に一定というか。本物のピアノだと、鍵盤が下がる約10mmの間、常に一定の力が必要な訳では無い。たとえば、鍵盤を3mm下げるところまで必要な力と、そこからさらに3mm押し下げる力とでは差があるし、その先さらに3mm下げる力も、また差があるもの。指で感じる抵抗感は一定では無いのだ。だけど、デジピだとずっと一定。なので、微妙な力加減はデジピだと練習にならない。

しかも、ダンパーペダルを踏んだ時と踏んでない時で、鍵盤を押し下げるのに必要な力も、本物のピアノの場合は違う(ダンパーを物理的に持ち上げる力の分、差がある)のだが、これも、もちろんデジピだと差は無い。ま、これは本物のピアノアクションを搭載!と謳われているハイブリッドピアノであっても現状では差が無い(搭載されているアクションにダンパー部分が無いから)ので、デジピに限った話ではない

なので、いくら昔のデジピよりも進化したとは言っても、当然のことながら、生ピアノと同じという訳にはいかなかった。なので、仕方なく中古のアップライトピアノを購入することに。

でも、深夜に譜読みとかするのには非常に便利だし、省スペースなので、ピアノ室に置いて現在もたまに使用している。

コメント

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました