ピアノの先生選び~大人の再開ピアノ その20

ピアノレッスン備忘録

その19のつづき

次の日、さっそく紹介してもらった先生に直接電話をかけた。

先生は、ツェルニー50番をレッスンするような大人を教えたことがないので、自分なんかで満足いただけるかどうか自信がない、と、やはりピティナの方が言っていたように謙遜なさる。私は、字面だけ見ると本格的に感じてしまうが、本当にレベルが低いし、本格的なレッスンは求めてないし、御心配には及びません、と申し上げる。

で、取り敢えず、体験レッスンに伺うこととなった。
先生は、一回のレッスンじゃ相性などわからないので、一か月体験レッスンをしてくれると言う。これは私だけじゃなく、他の人すべてに同じ対応らしい。なんか一瞬、警戒されているのかと思ったが、そうではないらしいw

早速、いつものようにレジュメを作成した。内容は相変わらずだが、先生が変わるたびに情報が増えるので、今回のレジュメは4枚にもなってしまった。とにかく、最優先して欲しい事項は3つ、奏法の強要はしないで欲しい、ツェルニーを早く終わりたい、手などを傷めないようにしたい、の内容はいつもと変わらず。今回、レジュメが増えたのは、最初から面倒くさいオヤジだな、と思ってもらった方が後々良いと思ったから。今までも充分に面倒臭い内容のレジュメだったはずだが、それでも失敗を繰り返してしまったし・・・ダメなら最初から断ってもらった方が色々エコロジーだし。

先生のお宅は、車で45分くらいの隣の市。ちなみに月謝も県内相場では結構高い方。お宅には防音のピアノ室が完備されており、中にあったのは、なんと、スタインウェイのグランドピアノ!

ピアノは1台だけだが、スタインウェイ。
私は、スタインウェイは弾いたことがないので興味津々。小さめのオールドスタインウェイ?のようだ。

レジュメをみながら、スタイン先生(と呼ぶことにしたw)と充分に話し合う。先生は再度、謙遜なさって、体験レッスンとして一か月やってみて、私が物足りないと思ったら遠慮なく言ってください、私なんかより良い先生はたくさんいらっしゃると思うので、との事。

いやいやいや、こちらとしては、自分の低レベルに呆れられてしまう不安の方が大きいんですけど・・・

取り敢えず、いつものようにスケールを弾いてもらう。私の見立てでは、スタイン先生はフランス系重量奏法だった。そして、図々しいついでに何か一曲弾いていただくと、いま練習中のモーツァルトをご披露してくださった。とても美しい音。これぞモーツァルト!と言った感じの、ジュペルレ(真珠のように粒が揃ってコロコロと連なった音で弾くフランス系の神髄の奏法)で、後で訊いたら、スタイン先生は無意識にそのように弾いているとおっしゃってた。

そんなこんなで、一か月の体験レッスンは無事に?始まった。

レッスンは引き続きツェルニー50番の20、それに3月に人前で弾かなければならない古典系の変奏曲。

スタイン先生は、曲のイメージをとても大切になさる。
この曲はどんなイメージ?
どこが一番山場?
どんな感じの音で弾こうと思っている?
など、決して押しつけがましい感じではなく、いろいろ話してくださる。

先生が考えていたイメージと私のイメージが違う事が多いのだが、新たな視点や観点を提示してくださるし、話し合った結果、じゃ、そのようにしましょう、と言った感じで、強要や押しつけではなく、一緒に曲を作っていくスタイル。

ツェルニーも、先生が言われたポイントが全部できるわけではないのだが、あらかじめ最低限のクリアポイントをスタイン先生と話しあっていたので、じゃ、これに関してはいつか、再チャレンジしたくなったら実現できるようにしましょう、と言ってくださる。こんな感じで、曲の上りも先生と話した上、私に選ばせてくださる。

そしてスタイン先生は、褒め上手だ。とりあえず何かしら、良い点を褒めてくださる。再開後の諸先生方の多くは(奥さん先生は除く)褒めるどころか、いつもダメ出ししかされてなかったので、褒められ慣れてないせいか、逆に少しはずかしい。でも、この歳になっても、褒められると嬉しいし、なんかやる気が出てくるから、人間って不思議。

さらにスタイン先生は、とても熱心。私が普段、基礎練に使っている楽譜などを楽器店に探しにいったら無かったらしく、コピーが欲しいと言ってくださる。レッスンするにあたっては、あらかじめスタイン先生も予習をしておきたい、との事。これも、再開後の4人の先生の誰にも無かったスタンス。私は、無駄にピアノ系の情報を集め漁っていたせいか、スタイン先生がご存じでは無かった情報などもあったりするのだが、その私の与太話であっても、素直に聞いてくださって、勉強になる!などと、嫌みではなくおっしゃってくださるのだ。

古典系の変奏曲も、たくさん選択肢を提示してくださる。

古典系の曲って、リピートだらけというか、だいたいリピートが付いている。同じ内容を2回弾くということだが、2回とも同じだとあまり音楽的ではないので、何かしらの変化をつける場合が多い。だが、それが難しい。単純に、強・弱、と繰り返すのもどうかと思うし、かと言っていつも何かこねくり回して弾いても、それはそれでやりすぎになってしまったり。

自分でも思い悩んで決めかねていたのだが、スタイン先生は、こんな感じはどう?と言って演奏してくださったりする。自分だけでは思いつかないような色だったりシーンだったりするので、急にイメージができあがったりもするのだ。ま、なかなか思うようには弾けないんだけどw

あぁぁ、これぞピアノのレッスンって感じ。自分だけでは気づかない、分からない、進歩しない、習得できないなど、独りじゃできないような事を教えてくれてこそ、習う甲斐があると言うものだ。今までの先生たちのレッスンは、一体何だったのか・・・思えば、ピアノが弾きたくなるレッスンじゃなく、ピアノを辞めたくなるレッスンばかりだった(奥さん先生は除く)。私がピアノを辞めなかったのは、ひとえに、自分で決めた目標であるツェルニー50番を終わらせる、という義務感だけが理由だった・・・・

こうして、ツェルニー50番も、20曲目と21曲目もマルをもらってクリアし、一か月が過ぎようとしていた。

いよいよ、審判の時である。

つづく

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