1990年代の後半くらいに、パソコンのシミュレーションゲームで動物を育てるものが流行っていた時期があり、我が家にも一つだけその類のソフトがあった。 それはインコを育てるもので、餌をやったりケージを掃除したりしなければならず面倒くさかったのだが、ソフトを起動させておくとインコが動いたり時々リアルに鳴いたりして、まぁそれなりに可愛らしかった。
もちろん、元気が無くなったり機嫌が悪そうだったりもするのだが、 そういう時はアドバイスをくれるメッセージが出て、いろいろ指図してくる。その中でも何だか良く分からなかったのが「カルシウムが足りないようです」っていうもので、それが出たら「小松菜をあげる」というコマンドでインコに小松菜を食べさせると事態は解決するのであるが、私はカルシウム豊富な菜っ葉は別に小松菜だけじゃないのに、 なんで小松菜なのか?と不思議に思っていた。しかし、このゲームのお陰なのか何なのか、いつしか「カルシウムといえば小松菜」という図式が私の頭の中で成立し、カルシウムと小松菜の相関関係が急激に密接になったのである。
しかし、世間的にはカルシウムといえば牛乳や小魚、野菜で言えばほうれん草などの方が思い浮かびやすいのではないだろうか。だが、ほうれん草などの野菜系のものにはシュウ酸が多く含まれており、摂取しすぎると結石になりやすくなると言われている。またカルシウムの取りすぎも結石に結びつくという話もあるらしく、20代前半の頃に尿路結石を患い大変な目に遭った事がある私としては、カルシウムは他から十分に取っているので、さらにシュウ酸付きの菜っ葉を食べてしまうと、何だかまた石が出来てしまいそうな気がして、何となくほうれん草、そして小松菜もあまり食べないようになっていた。
だが最近(追記‐2004年当時)、ペットの尿路疾患について検索していたら、たまたまウサギの餌についてのサイトに行き当たり、
ウサギはカルシウムをたくさん必要とするが草食のため、葉物野菜でカルシウムが多いものを食べさせなければならない、ほうれん草はシュウ酸がとても多く尿路結石になりやすいため小松菜を与えましょう
といった文言を見かけてしまった。 またしても餌に小松菜… もしや小松菜は私が思っているような野菜とは違うのだろうか…。
すぐさま調べに入る。そしたら…なんと小松菜は、野菜の中ではダントツにシュウ酸が少ない葉っぱであったのだ。ほうれん草と比べると10分の1以下である。しかしカルシウムは多い。何と言う事か。 私はその時まで小松菜に、勝手に間違ったイメージを押し付け、勝手に食べる事から遠ざかっていただけなのだ。
シュウ酸を含むものを食べるときには、入っているシュウ酸以上のカルシウムを同時に摂取しなければ結石になりやすくなる。シュウ酸はあっという間にカルシウムと結びつく性質があり、血液中にシュウ酸が入りそれが尿中に排泄されると、尿の中のカルシウムとサッサと結合してしまい尿路結石になってしまう。しかし、その結合の速さを逆手にとって、 シュウ酸を含むものを食べる時は、同時にそれ以上のカルシウムも摂取すれば、胃や腸の中でシュウ酸とカルシウムがくっついて、シュウ酸が体に吸収されずにそのまま排出されるのだ。この点、 小松菜は合格だ。なにせシュウ酸よりもカルシウムの方が多く含まれているのだ。ほうれん草はカルシウムよりもシュウ酸の方が多く、残念ながら私にとって、ビクビク野菜であることには変わりない。
カルシウム補給には小松菜。インコのゲームはまったくもって正しかったのであった。
小松菜はアクであるシュウ酸が少ないので、お湯で湯がかなくても良い。水洗いの後、耐熱ボウルに入れ蓋をしてレンジでチンで十分である。小松菜はほうれん草よりも火の通りが悪いので、レンジするときは多めの時間を設定する。量にもよるが大体5分くらいはかかるであろう。レンジ加熱が終わったらすぐに冷水に浸ける。その後、食べやすい大きさに刻んで水分をよく絞り、かつお節を適量混ぜ合わせる。そこに手抜き料理の友・めんつゆとポン酢醤油を同割づつ好きなだけいれて和えれば完成だ。好みでからしやユズを少し入れても良い。
一般的に和え物は食べる直前に和えるが、この小松菜のおひたしは、作ってからしばらく経った方が美味しく感じる。次の日に食べても全然大丈夫なくらいだ。やはり、酸味が味を引き締めているのであろう。しかし、水分を絞るときは水っぽくなるのを防ぐために、 細かく刻んでからにする。その方がギュウギュウに、これでもかというくらい絞れるのだ。これがポイントである。
材料4人分 | 小松菜 | 一把 |
調味料 | かつおぶし・好きなだけ めんつゆ・大匙2 ポン酢醤油・大匙2 | |
好みで | 練りからし・ユズ等 | |
作り方 | 1 | 耐熱ボウルに洗った小松菜を入れ、蓋をしてレンジで5分ほど加熱する 取り出したときにまだ生っぽいところがあったらもう少しレンジにかける |
2 | レンジが終わったら冷水に浸けて色止めをし、食べやすく3cmくらいに刻む | |
3 | 刻んだら両手で思いっきり絞って水分をとり、かつおぶし・めんつゆ・ポン酢醤油で和える |
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