ヤマハエレクトーン ELB-02

ピアノメインの音楽関係

約20年間所持していたHS-8を処分してから2年くらい経ち、エレクトーンが無い生活に寂しさを感じ出したころ、急に思い立って衝動買いに近い形で、2017年の2月に購入。

それまでも、エレクトーンに代わる何かが無いかと考えない事も無かった。エレクトーンじゃない電子オルガンでもいいかなと・・・

でも、昔は電子オルガンもたくさん種類があったが、今じゃ殆どのメーカーが撤退し、世界中でも片手で数えるほどしか電子オルガンが無い模様。しかも、いわゆるパイプオルガンやチャーチオルガンの電子オルガンが殆どで、リズムなどが搭載されてポップスに対応しているエレクトーンタイプの電子オルガンは、事実上、ヤマハのエレクトーンとローランドのミュージックアトリエしか無い。

かつて存在したビクトロンやテクニトーンはいわずもがな、長らくエレクトーンと競い合ってきたカワイのドリマトーンですら、2017年当時には製造が終了されていた。なので、エレクトーン以外でも・・・などと言える状況ではなく、新品を買うならエレクトーンかミュージックアトリエしか選べない。

エレクトーンの最大のネックと言えば、金がかかるという事。
ヤマハは過去、数年おきにエレクトーンの新機種を発売し続け、大枚はたいて購入したエレクトーンも、楽譜やレジストデータもろとも数年後にはゴミになるという暴挙を繰り返して来た。なので、エレクトーンに嫌気が差し、エレクトーンから卒業した人も何十万人と居ると思う。自分もその一人であった。

その点、ローランドのミュージックアトリエは、モデルチェンジがあっても互換性があるらしいし、そもそもデータがすべてという感じでもなく、自分の力を駆使して演奏を行う電子オルガンのようで、一台購入すれば、時代に左右されずに長く使えるコンセプト。なので、次買うならミュージックアトリエかな~とHS-8の処分前から漠然と考えていた。

でも、自分の力を駆使して演奏すると言うことは、言い換えると機能が少ないという事。クラシックメインで普遍的な曲を演奏するならいいが、逆を言えば時代の変化にはついていかない。今時の曲を楽しく演奏するということには対応しきれないのは必定。でも、その割には値段は高め。流行に乗らず、シンプルな曲を長く楽しむと思えば決して高くは無いかも知れないが、機能的にはエレクトーンに見劣りしてしまう上、値段も高いとなると、やっぱり考える部分で・・・

しかも、テクニトーンとドリマトーンは大昔に触った事があるが、ミュージックアトリエは、現物を見たことも触った事も無い。つか、田舎じゃお目にかかれない。ネット上の演奏動画は観れるが、実際触ってみない事には一歩を踏み出せず、かと言って、お近くの展示ショップをローランドのサイトで検索してみても、そもそもお近くには存在せず、泊りがけレベルの旅が要求されてしまう。

仕方なしにエレクトーンの情報を集めてみると・・・

2016年に新機種が発売されていた。

またかよ、と正直思った。エレクトーンの現行モデルの名前である、ステージア(STAGEA)が発売された当時、「エレクトーンのモデルチェンジはこれで最後、今後は買い替えなくてもバージョンアップで対応し、互換性も維持します!」的な感じで発売されたからだ。これは、先ほど書いた、エレクトーン最大のネックであったモデルチェンジ商法のせいで、エレクトーン人口が急激に減ってしまった問題の根本的な解決策としてヤマハがとった施策。それなのに、新機種とは・・・

現行エレクトーンは大きく分けて2つのタイプが存在する。

ハイエンド機へグレードアップも可能なスタンダードモデルと、グレードアップはできない入門用モデル。
なので、取り敢えずスタンダートモデルを購入しとけば、レベルに応じて後からカスタマイズも可能なので、エレクトーンを買い替えなくても良い。がしかし、スタンダードモデルであっても60万円くらいするし、ハイエンドへカスタマイズをしようとすれば、さらに30万円ほどかかる。なので、趣味でちょろっと弾くというのに買う訳にもいかず。

とすると、残るは入門用モデルなのだけど、これがなかなか曲者。鍵盤はおもちゃみたいだし、音も少ないし、機能も少ないし、いくら趣味とは言え、どうなの?と言った感じだった。

なのだけど、2016年に新機種が発売。ヤマハもようやく本気になって、入門用モデルでも、大人の趣味で長く使えるように機能を盛り込み、品質をアップさせ、コストパフォーマンスを最大にしてきた。その機種がELB-02という訳だ。

入門用の旧機種はELB-01というもので、見た目はELB-02とそんなに変わらないが、中身が大分違う。混ぜられる音色も少ないし、弾き心地も良くないし、機能が少ないせいで、上位機種で作成したデータもまともに使えない。そして最大の欠点は、アフタータッチが使えない事。

アフタータッチとは、鍵盤を弾いた後、押し下げたままの鍵盤に力をかけると音が大きくなる機能。ピアノ音など、弾いた瞬間が最大ボリュームで後は減衰していく音なら関係ないが、管楽器や弦楽器など、音を伸ばしている最中にも音量が変えられる楽器の音だと、弾いている最中に音量が変えられないと不自然極まる演奏になってしまう。いくら入門用とは言え、これでは気持ちよく演奏できない。

だが、新機種のELB-02では、このアフタータッチが搭載された。と言っても、ペダル鍵盤には使用できず、上下鍵盤のみ。しかも、一種類の音だけアフタータッチを効かせることはできず、同時に発音されているすべての音に一律に作動してしまう。

どういう事かと言うと、エレクトーンは音を混ぜて重ねられる楽器。たとえば、上鍵盤にストリングスの音とフルートの音を混ぜることができる。でも、ストリングスは当然和音が鳴らせるが、フルートなどはリードボイスと言って、単音しか発音されない。この場合、押さえている鍵盤の最高音がリードボイスになるため、最高音が旋律になるように和音を押さえていくと、伴奏のストリングスと旋律のフルートの合奏を、右手だけで行えるのだ。で、フルートにアフタータッチを効かせようとして最高音の鍵盤だけ押さえる力を増やしても、押さえる力が変わってない伴奏であるはずのストリングスまで一律に作動してしまうという事なのだ。

この点は不自然なのだけど、それでも無いよりは何倍もマシ。

そして、旧機種より混ぜられる音の数が増え、プリセットされている音色も増え、プリセットのリズムも増え、エフェクト機能は上位機種と同じレベルになり、鍵盤そのものも改良されて反応が良く弾きやすくなり、旧機種のデータはもとより新機種の上位機種用のデータも、代理発音などされてしまうが使える互換性も担保されている。

スタンダード以上の上位機種と違って、自分で音を作ることはできないし、リズムも自分で打ち込むこともできないが、市販されているデータを使う分には、なんら困ることは無い。そのデータも、発売されるエレクトーンの楽譜すべてに、上位機種だけじゃなく、この入門用のELB-02のデータも併売されているのだ。

1から音楽を作っていくことはできないが、趣味で楽しく弾く分には申し分無い。互換性も維持されているし、数年後にはゴミになることも無い。不具合などを改善するバージョンアップもネットからダウンロードして行える。楽譜もデータもヤマハのオンラインサイトで購入できるし、これだけできるのに、ミュージックアトリエの一番廉価版よりもさらに安い。

これは買うしかないでしょ、ってことで早速地元の楽器店へ行き、展示品を思う存分堪能した後、即決現金払いで購入した。

届いてからは、弾きまくった。
それはそれは楽しく、思い立ったらすぐにデータも楽譜も買えるし、便利な事この上ない。音だって、昔のHS-8よりも綺麗だし、エレクトーンを買ってからピアノを再開するまでの約2年近く、暇さえあればエレクトーンを弾いていた。

しかし、ピアノを再開してからピアノに時間が取られ、エレクトーンを弾いたのはこの2年半で数回だけ。さらに、ここ半年くらいは電源すら入れていない・・・

でも、いつか弾く予定で、いつでも弾けるように寝室に置いてある。

でも、エレクトーンに触るのは、今じゃ猫だけw

画像は寝室のELB-02である。

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