バイエル70・71番、ト長調の音階

第二ステージ

ではバイエル70番・71番へ進みます。この2曲とも再び 3度の和音進行の練習曲です。また、ここでト長調音階も練習します。 この後、調と調の関係について長々説明してありますので、興味のない 方は読み飛ばしてください。

それではまずト長調音階から練習します。なぜト長調なのかというと、 シャープが一つ付くだけだからです、と言う答えが出そうですが、半分 だけ正解です。音階には全部で24の調がありますが、調と調の間には さまざまな関係があるのです。大きくは近親調と言われる仲の良い(共通の音が多い) 調の関係とそれ以外に分けられ、近親調の中でもさらにいくつかに分かれます。 調の関係はその元となる音の関係に由来します。音と音の間にも相性の 良い関係があり、そのうち完全5度といわれる間柄の2音同士の和音は安定した 響きになり、大変密接な関係となっています。たとえばハ長調のド(主音)に対する 完全5度の音は、上がソ、下がファで、ハ長調の場合、白い鍵盤5つ分 離れた上下の音と言うわけです。そして完全5度上の音のことを主音に対して「属音」、 完全5度下の音を「下属音」と呼び、これが調と調の関係にもそのまま 適用されるのです。ですからハ長調に対する属調はト長調となり、ト長調 はファだけに♯が付くので、♯が一つ増えます。そしてト長調の属調は ニ長調となり♯がもう一つド(ファ♯の完全5度上の音)に付いて…といった具合に属調へ移るたびに ♯が一つずつ増えて行き、後で♯が♭に変わってからは♭が今度は一つずつ 減っていって、最終的にまたハ長調へ一周するのです。ですから、ト音記号や、 ヘ音記号のところに書く♯や♭(調性記号と呼ぶ)は好き勝手な順番で書いては ダメで、♯(♭)が増えていく(属調ではなく下属調へ移って行けば♭が 一つずつ増えて行き、その後♯が減っていく逆のパターンで一周する) 順番に則って書くことに決まっています。また、余談になりますが、 ドミソなどの和音(コード)同士にも属和音と下属和音があり、主和音・ 属和音・下属和音の密接な関係の3つを「主要三和音」と呼び、 この主要三和音だけで曲が作れてしまいます。バイエル練習曲の伴奏の多くも、 この主要三和音だけで構成されています(バイエル66番の場合、主和音「ドミソ」・ 属和音「シレソ(ソシレが変化)」・下属和音「ドファラ(ファラドが変化)」です。 確認してみましょう)。これらの事は少し難しいので忘れてしまっても 構いませんが、せめて音と音・調と調にも関係があるのだと言う事くらいは 覚えておいて損はありません。


 そして、いよいよスケールの話ですが、調性記号の ♯が4つまでの調なら、ハ長調と同じ指使いでスケールが弾けてしまいます。 バイエルではハ長調から始まって属調へ移って行き、♯4つのホ長調まで 順番にスケールが出てくる事になっています。指使いはハ長調と同じです。 ♯がたくさん付いているからと言って決して難しい訳では無いので、 無用な拒絶反応をする必要は全くありません。ビビらずに落ち着いて クリアしていきましょう。

という事で、ト長調のスケールも、ハ長調がしっかり出来ていれば それほど苦も無く弾けるようになります。ト長調のスケールも弾けるように なった後でも、ハ長調のスケールとともに一日一回くらい弾きつづけて 行くと、バイエルが終わるのが大分楽になると思います。できれば練習 して行ってください。

それではバイエル70番・71番に入りますが、この2曲とも練習 内容は、ト長調である以外、バイエル68・69番と全く同じです。 したがって注意点も同じですのでサクっと済ませてしまいましょう。

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