インベンションとシンフォニア

ピアノメインの音楽関係

2021年の3月に、日々行う基礎練習を見直して毎日バッハのインベンションとシンフォニアを弾くようにしている。

インベンションのうち大方の部分は、大昔のレッスンで終わっていたので、再開後にインベンションの残りとシンフォニアをすべて終了した(と言ってもまともに弾けないが)のが、2020年の春くらい。なので、再度弾き始めるまで約1年くらい間があった。

もともと暗譜もできないし、ちゃんと弾けてなかったせいで、改めて弾いてみるも、毎日ものすごく新鮮な曲を弾いているかの状態。途中で止まるのは当然のこと、下手すると次の音が何だったかもわからなくなる始末・・・

大昔に習っていた時は、業界じゃ不評の全音標準版。再開後には、家人が使っていたヘンレ版を使おうかとも思ったが、なんか指番号とかが難しい感じがしたので、市田版と言われる楽譜を購入し、レッスン再開後はこれを使った。

なので、昔の標準版と譜面が違うし指番号も違う。大昔にも暗譜はできてなかったくせに、日々、いざインベンションとか弾くと市田版の指番号とは違った指が勝手に反応してしまって、結果、弾けなくなる。どうやら昔の標準版の癖が出て来てしまっている模様。

バッハの場合、指番号を間違うと、次が続かない。一つ違う指で弾いてしまったら、フレーズが終わるまで延々違う指で弾く羽目になってしまうので、目の前の譜面の番号とズレが生じ、混乱してミスを繰り返してしまうのだ。

そして、市田版は指使いがマニアック。アンダーラッピングとかオーバーラッピングとかいう指使いが多用されている。これは、たとえば5指を弾いた後、普通ならせいぜい1指をくぐらせて上の音に繋げるのが、市田版では4指で5指をまたいで上の音を弾いたりする。

これは普通の曲なら禁じ手と言われる指使いなので、スケールの時に行おうものなら、すぐさま指導が入るレベル。でも、バッハではむしろ推奨されている?ようだ。ま、オルガン弾く時とかには普通に使うテクニックなので、ピアノだけ禁止する必要も無いとは思う。

でも、次の音も思い出せなくて、日々新鮮に見える楽譜とにらめっこしながら弾くのには、非常にハードルが高い指使い。毎日1回かせいぜい2回弾く基礎練習では、一向に弾けるようにならず、日々ゴミが積みあがっていくような不完全燃焼状態になってしまい、だんだんイライラしてくるようになってしまった。

次にやってくる本番の曲や伴奏の練習なども続いたりして、普段のレッスン曲の練習も存分にできない状態の中、基礎練習でもモヤモヤが積み重なっていく毎日。そこでスタイン先生に相談してみた。

先生は、2曲弾くのを1曲だけにして、その1曲を数回、10分か15分くらい練習したらどうか?とアドバイスしてくださる。ある程度まとめて何回かは弾かないと、積みあがっては行かないから、との事。

インベンションとシンフォニアは、岩崎淑先生の推奨する、カレンダーの日付と同じ番号のインベンションとシンフォニアを1曲ずつ、合計2曲を弾くスタイル(16日以降はマイナス15して行う)でやっていたので、一日につき2曲を、基本は1回ずつ弾く。これが一か月に2回あるので、1曲あたり月に2回か、せいぜい3回しか弾かない事になるのだが、これを先生の勧めに従い「一日に1曲を数回、ある程度の時間をかけて弾く」というプログラムに変更することにした。

そして、インベンションとシンフォニアは一生弾き続けると仮定して、この際、楽譜も変えようと決意。

家には、大昔の全音標準版と、ボロボロのヘンレ版、再開後のレッスンで使った市田版と、3声の声部がそれぞれ独立して譜面に起こされている特殊な楽譜の4種類のインベンションとシンフォニアがあったが、さらに、手の小さな日本人向けと謳われている楽譜も注文し、スタイン先生からは悪名高き?井口版の楽譜もお借りし、精査することに。

早速、先生からお借りした春秋井口版で一通りさらってみる。

井口版の楽譜についてのデメリットは、情報としては持っていたのだが、現物の楽譜を見るのは初めて。弾き進めていくうちに気が付いたのが、「指使いというものは、音楽そのものに直結している」と言う事だった。

たとえば、ここは音を切らずにつなげて弾きたいと思ったとしても、指使い上、絶対に音が切れてしまうような事が多々起こる。そして、譜面に書かれている指使いをすると、井口氏が勝手に解釈した音楽表現に引きずられてしまいやすくなり、トリルなどに至っては、強制的に譜面通りに弾かざるを得なくなる。

井口版の楽譜は、トリルなんかが現代の感覚でみると間違っていたりするので、楽譜通りの指使いを鵜呑みにはできず、結局、自分で考え直さなければならない・・・

もう一つ新たに購入した楽譜も、指使いは弾きやすい感じがするのだが、やっぱり音楽表現に直結させられてしまう。

バッハを弾くにあたって今現在における自分のスタンスは、「アーティキュレーション・デュナーミクは極力排除してフラットに弾く」と言うものなので、残念ながら、これらの楽譜は使えない。

そこで、新バッハ全集という、現状最新の研究結果で作られた楽譜を底本として出版されている、ベーレンライター原典版という輸入物の楽譜を使うことにした。

指番号以外は一切書かれていない、純然たる原典版で、ドイツ語で書かれているからチンプンカンプンな版。でも、フラットから始めるのには都合が良い・・・と思う。

いざ使い始めてみると、指番号もだいぶん変わっている感じ。でも、よくよく考えてみると、ノンレガートではなく、レガートで弾くことが前提なのだな、と思わせる指使い。

でもでも、やっぱり今まで使った色々なのに比べると、装飾音符と指使いが全然違うので、一から練習する羽目に・・・

結局、日々部屋が散らかっていくような、ゴミが積みあがっていくような状態には変わりないw

でも、使い始めて4か月近く、相変わらずゴミは散らかっていくが、少しずつ片付いて来ている気もするから、弾けない事には変わりないけど、精神上は充実感が出てきたので、ヨシとしよう。

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