その１７のつづき
チャッキリ先生に送ったメールは、要約すると「先生のレッスン方針と合わないと思いますので、辞めます」という文面だったのだが、チャッキリの返事は、「あ、そう。お役に立てなくてごめんなさいね」的なもの。
別に、話し合うつもりとかも無かったから、これはこれで良いのだが、どうよって感じ。
仮にこれが普通の会社の話だとして、新規取引先から、たった２回の取引で「お宅の会社とは方針が合わないから取引停止します」って言われたら、普通、何か考えるでしょ？
土下座して引き留めるとか、そんなことは無意味だけど、一般社会生活上、せめて建前でも、「ご不快な思いをおさせしてしまい、申し訳ありませんでした。私どもに何が足りなかったか、今後のためにご教授くだされば、幸いに存じます」くらいの事は、言うのが普通じゃね？？
しかも、入会金と月謝まで払ってるんだから、月謝は置いといたとしても、入会金は返金します、くらいは、思ってなくても取り敢えず言うでしょ。もちろん、そういわれたら、いえ、結構ですって言うし。体験レッスンは抜いたとして、一回だけしかレッスンしてないんだし、ましてや契約不履行状態なんだから、自分だったら申し訳ないから、返金を申し上げるレベル。
でも、そんな事は関係ないことなのだろう。ピアノ教師は、一般的に他所で勤めに出た経験がない事が多いし、一般社会の人との交わりも薄く、ごく限られた人間関係の中で仕事をし、しかも、その仕事をチェックする人も居ないし、チェックされたことも無いであろう。自分の世界だけがすべてで、自分が正しいと考えてる人が多いのかも知れない。
私は、ピアノ教師はサービス業だと思っているが、当のピアノ教師は、そう思ってない人が多い気がする。
このチャッキリ先生も、自身のサイトに、
礼儀を身につけることの大切さを重要視
人様の家にあがることの注意
基本的な礼儀を身につける機会として
一人の人間として恥ずかしくない礼儀を身につけさせる
などと声高に書いており、レッスン時の注意も、制服や学校の服や靴下は履き替えてから来るようにとか書いてるくらい。
おこがましいにも程がある！ あんたはどんだけエライ人物なんだ！！
思うにこれは、ピアノを教えることはサービス業ではなく、「師弟関係」だと考えているのだろう。
自分は師匠で上の立場で教え導く高位の存在、生徒は弟子で従わせる存在。
だから、頼みもしないのに、他人様の子どものしつけにまで言及し、しかも、その傲慢さに気づきもしない。
その無意識のスタンスは、レッスンにも出る。
チャッキリ先生に限らず、再開後に習った４人の先生達のうち３人は、相手が求めることを叶えるお手伝いをするのではなく、自分がやりたいレッスンを相手に押し付けるパターンだった。
これは正しくて、これは正しくない
それは間違っているから、正す
それは良くないから、直す
自分が実現したいビジョンを、相手の同意も得ず勝手に推し進める
そうすることが、将来のためになる
今は分からなくても、いつか気づくときがくる、その時に感謝してもらえれば良い
それは全部、あなたのため
小異はあれど、こんな感じなのかと。
本来、マンツーマンの指導では、マンツーマンにしかできない指導、その人その人に応じて、その人に対するオーダーメイドの、その人だけに合った指導ができるのが、マンツーマンの最大のメリットであるはずだ。
それなのに、そのマンツーマンであるが故、客観的な他者のチェックが入らないことをいいことに、自分の独りよがりな理想を当然のように押し付け、それについてこれない人は最初から才能の無い人、そもそもピアノに向いてなかったんだから仕方がない、自分の責任ではない、などと通過点のひとつに矮小化している。
その自分の指導のせいで、誰かの人生を狂わせてしまったかも知れないのに！！！
現に私も、世界で一番好きなピアニストであった原田英代さんが、好きではなくなってしまった。原田英代さんのせいでは、もちろん無いのだけど、でも、原田英代さんもチャッキリ先生のような指導をなさっているのかも知れない、なんて思ったら、なんか幻滅というか、そういうもんなのかとか、モヤモヤする気分になってしまったのだ。
我ながらくだらないと思うけど、人間の心なんて、自分自身でもどうすることもできなかったりする。
こうして、申し訳ないけど、私にとって、原田英代さんが一番好きなピアニスト、とは言えなくなった。コンサートも当分行かないだろうし、CDは封印するくらいの勢い。
原田英代さんからしてみれば、えらいとばっちりだろうけど、そもそも自分一人がどう思おうと、原田英代さんの人生に何の影響もないので、問題ないであろう。
また、大人の再開ピアノ先生探しが始まることになる。。。
もちろん、「礼儀」という言葉は地雷ワードだ。
礼儀と書いている時点で、候補から真っ先にはずすことにした。
つづく？？
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