ピアノの先生選び~大人の再開ピアノ その8

ピアノレッスン備忘録

その7のつづき

まず、ソナチネ2番、クーラウ作曲Op.20-2を普通に弾く。

ババァ、しかめっ面。
とりあえず1楽章を弾き終える。

ババァ「あんた、何でそんなに何も考えずに弾き始めるんだ?」
「どうしたいのか、どう弾きたいのか、何も見えないし、伝わってこない」
「何をイメージしてる?」

自分「特に・・・。楽譜の指示に従って練習してきただけです」

ババァ「そんなんじゃダメに決まってろーが!」
「イメージも構想も無いままピアノなんて弾くな」
「とりとめもない演奏を聞かされる方の身にもなってみろ」
「作曲家がどんな思いでもって曲を書いたか」

ババァ「この曲は何もないとこから静かに始まる」「こういう感じだ」
「あれ? ん? 何か湧いてきたぞ。チョロチョロ・・・」
「だんだん増えてくる・・・来るぞ!来るぞ!」
「やった、石油が湧いた!!!」
バァァァーーーーン!!(←ババァ、汚い音で大音量和音を鳴らす)
「こんな風に弾け」

はぁ。
つか、なんで石油?とか疑問で頭がいっぱいになったけど、邪念を振り払って指示に従う。

ババァ「なんでその音を弾く?」「音、間違ってるだろ」

自分「今井版なので。ここに理由が書いてありますけど、本来の音と思われるように変えたと書かれているので、楽譜の通りに弾きましたけど・・・」

ババァ「絶対違う! 今井先生が間違ってる! こんなの和声的にもありえない!」
「全く・・・これだからな。なんでも変えればいいってもんじゃねーぞ」
「この音はこっちが正しいから、こっちの音で弾くように」

と、ババァ、私の今井版ソナチネに昔ながらの音を盛大に修正書き込みする。

ババァ「なんでペダルを使わないんだ?」

自分「楽譜の通りに・・・以下略」

ババァ「いくら楽譜の通りっつったって、自分の頭で考えろ」
「ここは音が切れてしまうんだから、ペダルで繋がないとダメに決まってる」
「まったく、感性もなにも無いな。普通、ペダル使いたくなるだろーが」

ババァ「違う違う、ペダル踏みすぎだ」
「ペダルは耳で踏め!」「何も考えずに踏むな!」「ペダルはオンオフだけだと思ってんのか?」「無段階に調節しろ!」

ババァの所の生徒用グランドピアノは、調整があまりされていないのか、音も狂い気味だし、ペダルを踏んでも遊びが多すぎて、すんなりダンパーが上がらない。なので、ペダルの踏みしろの半分くらいしか実質利用できない。そのわずか3cmくらい?のストロークで、ハーフペダルだのクォーターだの、微妙なコントロールを要求してくる。

自分は控えめに、「うちのピアノと踏み心地が違ってて、思うようにできません・・・」
と平身低頭して申し述べるも、

ババァ「だーかーらー、耳で踏めっつってんの!」
「何分の一だの何センチだの、そんな事で音楽になる訳、無いだろーが!」
「こっちのピアノはまだマシだ。世の中にはもっとひどいピアノも山ほどあるわ」
「グダグダ言ってないで、練習しとけ!」

ババァ「あんた、ほんとに感性が足りないな」
「たとえば、ブルグミュラーの貴婦人の乗馬。あんた弾いた事ある?」

自分「昔、弾きました」

ババァ「弾いたって言っても、どうせ何も考えずにただ弾いただけだろ。そんなのは弾いたうちに入らん!」

ババァ、頼みもしないのに、貴婦人の乗馬をフルで一曲弾き終える。

ババァ「ほら、ここでは並足。んでパドック。ぐるっと展開してスピード上げる。」
「あっ、馬が暴れた! ドウドウドウ、ほら、落ち着いた」
「ここで貴婦人登場。馬、貴婦人を乗せて得意そうに優雅に走る」
「最後は、満場の喝采をあびて、華々しく終える」

ババァ「アタシは乗馬も習ってるけど、経験して初めてわかることもある」
「乗馬をやって、ようやく、この曲が理解できた」
「あんたも下らないこと考えてる暇があったら、趣味の一つでも持って、感性をやしなえよ」
「乗馬くらいしてみてからピアノ弾け!」

・・・・・

もはや特に、何かを言おうという気も起らなかった・・・

このババァの「貴婦人の乗馬リサイタル」は、さらに後日、トータルで3回くらいは解説付きのフルバージョンリピート付きで聴かされる羽目になる・・・

つづく

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