ボウル一つで作るもやしのナムル~散文レシピ

ボウル一つで作るもやしナムルその他

以前は、化学調味料に抵抗があった。本当か嘘か定かではなかったが、化学調味料は石油からつくられており体に良くないと言われ、学校の保健の時間にも先生が、化学調味料を多量に摂取すると命をも落とす危険性があるというような事を言っていた記憶もあって 、気がついてみれば自然と避けるようになっていた。

その後、平成初期の学生時代、バイト先で同僚だった朝鮮系の人に、 何かコリアンフードの作り方教えて!と頼んだら、ナムルを教えてくれる事になり、作り方を聞いてびっくり… 味付けの基本は化学調味料。それもいっぱい入れると仰る。化学調味料使わないで他の方法で作れない?と質問してみるも、化学調味料無しでは朝鮮料理は絶対に無理、とキッパリ。 でも、化学調味料自体まだ歴史が浅くて新しいものだし、しかも化学調味料は日本で作られたもの。もともと朝鮮には無かったことは明白だし、 昔は違う方法で作っていたはず。でも、その事を告げても現代ではそれ以外の方法はない、との一点張り。色々手を尽くしても化学調味料で味付けするようなコクは出せないのだそうだ。

その衝撃の事実が発覚してからというもの、コリアンフードを作るのは自分に縁が無いと諦め、しばらくその事は忘れていた。しかしそれから数年後、ちょっとした縁があってひょんな事が発生、知り合いの焼肉店で働く事になり、 私の脳みそにあるレシピノートの前面に否応無しにコリアンフードが立ちはだかる事に!

そこの厨房には数年前に聞いた噂どおり、味○素の1kg入りがドカンと置いてあり、使用するときにはスプーンですくって(!)食材へ… 脳みそのレシピノートに立ちはだかるどころか、当然つくった料理の味を確かめる行為を通じて、舌にまで…。

だが、ナムルもビビンバもキムチもテールスープも予想以上に大変美味しく、その味は塩や砂糖で出せるような味ではなく、確かに化学調味料を使用せねば出せない味なのであった。それに、業務用食品調味料製造会社勤務の友人の話によれば、化学調味料はなんら体に害は無いとの事。原材料はさとうきび等から抽出した糖質なのだそうで、それをあーしてこーして……何やら忘れたが、とにかく食物なので心配しなくても良いと太鼓判。余談だが、そうは言ってもあまりに大量に摂取し続けると一種の味覚障害を引き起こす可能性があるとの研究結果もあったりするらしいので、程度の問題なのであろう。

とにかくも、その太鼓判以後、安心して化学調味料を使う事に決めた。思い起こせばその昔、家庭料理研究家であった?故・金子信雄氏もテレビの料理番組ではいつも化学調味料を使っていた。家庭料理とは経済的で合理的でバランスがとれていて美味しく、というものなのだからして、 その概念から言ってもお手軽に味をアップしてくれる化学調味料は歓迎されるべき調味料であるはずなのだ。まぁ、そうは言っても我が家ではアジアンフードにしか使って無いが…

化学調味料(うまみ調味料といわれる事もあるが)と言ってもいくつかのメーカーから数種類の製品が発売されている。そのタイプは、5´-リボヌクレオタイドナトリウムなる成分が少ないものと、 より多く入っているものの大別して2つ。より多く入っている製品の方がよりうまみを感じ、値段も高いという事になっていると思われる。 であるから、我が家では多く入っている方を使用している。

ナムルにするモヤシは、大豆か緑豆のもやしが良い。 少しでも茎が太いもやしの方が調理したときの味も食感も良くなるためだ。もやしの調理の仕方としては、炒める、湯がく等があるがナムルにする場合は湯がく方法がとられる事が多い。我が家では湯がくのは面倒なのでもっぱら電子レンジを使用している。耐熱ボウルに洗ったもやしを入れ、覆いをかぶせて3分チンするだけだ。 その後取り出し、出てきた水分はボウルを傾けて捨て、 後はそこに調味料をいれて調理すればボウル一つしか使わなくて済む為、大いに合理的であり片付けもラクだ。

もやしが温かいうちにまず最初にごま油を入れて絡める。 この順番はナムルの味を左右するので間違えてはいけない。ごま油は何よりも先に入れなければならないのだ。仮に塩や砂糖などを先に入れてしまうと、浸透圧の関係でもやしから水分がでてきてしまう。 先にオイルでコーティングする事によってそれがある程度防げると言う訳だ。

その後、化学調味料、砂糖・塩を入れて行き、その都度満遍なく和えるようにする。最後にすり胡麻を入れて和えれば完成だ。 すり胡麻が無いときは、わざわざ胡麻を擂らなくても、炒り胡麻を ひとつまみずつ指先でつまみ取り、それを指で擦って揉みながらパラパラとボウルに入れて行けば良い。不ぞろいの胡麻もまた味わい深く、何よりもお手軽な事この上ない。それに、下手にすり鉢など使用してしまっては、ボウル一つで完成させる事はできなくなってしまう。 胡麻は黒胡麻よりも白胡麻の方がナムルには相性が良いであろう。

出来上がったものはナムルの基本形であり、これに少し手を加える事によりバリエーションを広げる事ができる。かつお節を混ぜれば、もやしの和風胡麻和えに、顆粒ガラスープとラー油を混ぜれば中華風もやしサラダに、鷹のつめの輪切りとおろしにんにくを混ぜればパンチの効いた朝鮮ナムルに変化する。その他、色々試行錯誤して各家庭のバリエを増やしていけば、調理法が単調になりがちであったために、 どんなに安くても頻繁に食卓に登場させる事ができなかったもやしを 、家庭料理の救世主として度々、家族に供す事が出来るようになるであろう。


材料一回分豆もやし一袋
調味料ごま油・大匙1
化学調味料・指2本でひとつまみ
砂糖・小匙四分の1
塩・小匙四分の1
白すり胡麻好きなだけ
作り方もやしをレンジで3分チン
出てきた水分を捨ててごま油を混ぜる
残りの調味料を和える

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