三回目の発表会に暗譜でチャレンジしてみた

ピアニッシモブログ

ピアノのスランプは相変わらず継続中。

というか、もはや今が通常状態。ピアノは毎日弾かず、週当たりで一日平均1時間という練習時間。まぁ、大人の趣味としては妥当なところ。再開ピアノの目標を達した今では、もう必死に練習する必要もない。

そう、ピアノを再開するにあたっての目標である「ツェルニー50番を終了する」は、今年初めてのレッスンにて予定通り?達成されました!
ちょうど2年(途中休止期間があるので正味1年半)でツェルニー50番が終わった。長かったような短かったような・・・

ツェルニー50番が終わるにあたってスタイン先生と相談した結果、何かに追われるようにピアノを練習するのは、もう止めてもいいのではないか?好きな曲や弾きたい曲を、期限にとらわれずにレッスンするのはどうか?曲集も最初から全部やるのではなくて、好きな曲を抜粋してやれば良いのではないか?とアドバイスを頂いたので、単純な自分は「そうかな?」と納得し、そして「そうしよう!」と決めた。なんか、肩の荷が下りたとは、こういうことかな。

で今後の方針としては、平均律も難易度などは無視して弾きたい曲をつまみ食い、練習曲はショパンのエチュードを無理せずゆっくりレッスン、息抜きにショパンのワルツなどを挟みながら、とにかく無理せず気負いせず、ゆったりとピアノを続けていくということになった。

本当は、ショパンのエチュードなどとても無理だし弾けるとも思わないから、モシュコフスキの15をやる予定だったんだけど、王道の遠回りをせずとも、弾ける範囲でショパンのエチュードを弾けば良い、全部弾く必要なんてないのだから。。とスタイン先生の力強い後押し?があったので、頑張ってみることにした。

そして、ツェルニー50番の総仕上げも兼ねて、50番の50番、最後の曲を発表会でやろうと言うことになり、それはもう必死で練習を続けたんだけど、自分の限界が見えたというか、もう人前で披露できるレベルには頑張っても到達しない事が身に染みたと言うか、要するにぶっちゃけ、挫折して、発表会の曲をツェルニー50番の50番からショパンの華麗なる大円舞曲に変更したのが、今年一発目のレッスン。それで同時にツェルニー50番が終了という訳だ。我ながら情けないが、ま、暗譜も終わってたしレッスンとしては充分ということで、きれいさっぱりツェルニーは終了。

で、発表会の曲をどうするか、という段で、息抜き予定で練習を始めていたショパンのワルツの1番、華麗なる大円舞曲を発表することに相成った。曲集はつまみ食いでやれば良いと言われてはいたが、なんとなく最初からやろうと思ってワルツの1番を練習してしまっていたので、発表会に間に合う可能性のある曲が、これしか無かったという、非常に消極的な理由で決まった。が、技術的には今の自分には無理は無く、というか若干の余裕すらあるこの曲を発表するにあたって、目標を設定。

一つは、いつもの事だが「途中で止まらない」「ミスしても弾き直さない」というもの。これは自分の中にいつもある、大前提のこと。これに加えて今回は「楽譜は置かず暗譜して演奏する」という目標を決めた。

再開後今まで何回もあったピアノソロの本番の機会では、曲そのものは暗譜して仕上げてはいたが、本番中、頭が真っ白になってしまった際の保険として、楽譜は譜面台に置いて演奏してきた。でも、今回は余裕がある曲のはずだし、再開後で初となる「楽譜無しの暗譜演奏」にチャレンジすることにしたのだ。

さて、どうするか。いつもの事だが、まずは情報を集める事から始めた。世の中には曲を暗譜するにあたって、さまざまな方法が存在し、皆、それぞれ苦労しながら成し遂げている。

そして情報を集め勉強していくうちに、暗譜にはおおまかに3種類ある事が分かった。

手癖の暗譜
音感の暗譜
アナリーゼの暗譜

であるらしい。

手癖の暗譜は、いわゆる「暗譜した」状態になった時に最初に訪れる状態で、あまり考えずに手指が自然に動く状態。ダンスを覚えるようにピアノを弾く状態。この状態は、もちろん重要なことなのだが、本番などで緊張して頭が真っ白になってしまった時などに「あれ?次の音ってなんだっけ?」って事に陥ってしまい、ミスを誘発する。というか、そうなった時にかならずミスしてしまう。

音感の暗譜は、曲を覚えていて曲が頭の中に鳴っている時、それを手指で再現できる状態。これは絶対音感の時はもちろん、相対音感で曲を覚えている時でも、頭の中の音楽に従って音程がどのくらい離れているかを把握できるので、次の音に繋げることができ、仮に頭が真っ白になってしまっても、覚えている音を弾いたりすることができる、らしい。。。

そしてアナリーゼの暗譜は、楽譜そのものを暗譜した状態。楽譜を映像や画像のように記憶していて、それを思い出して弾いたりする。そこまではっきり覚えられなくても、楽譜を読み込む(アナリーゼ)にあたって、和声を把握してみたり、自分の書き込みをしてみたりという、楽譜に自分なりの情報を加えることで記憶に残り、それを演奏中に思い出せるようにする。昔の記憶術や、歴史の語呂合わせのように、情報に情報を加えることで覚えやすくなり記憶が定着しやすくなるのを利用する訳だ。

さて、暗譜にあたっては3種類存在する事が分かったのだが、ここで問題が発生。

自分には音感が不足しており、音感の暗譜は使えないのだ。

自分は、歌を普通に歌えるくらいの音感はあり、世間一般でいうところの音痴では無いのだが、ピアノを弾くにあたっての音感という意味では、残念ながら音痴である。

よくレッスンの時にも言われるのだけど、曲を覚えていれば次の音がわかる、というピアノの先生にしてみれば当然の事も、自分にはできない。頭の中で曲が鳴っても、それに相応するピアノの鍵盤がどれなのか、わからないのだ。単旋律のメロディーみたいな単純な音の集まりでさえ、鍵盤のどこから弾き始めたら良いのか、次はなんの音なのか、全然わからない。手探りであちこち弾いてみて「これかな?これだ!」とようやくわかるレベル。なので、本番では役立たず。自分はこれを「鍵盤音痴」と名付けて受け入れ、スタイン先生にも説明している。この鍵盤音痴の派生形なのか何なのか、歌いながら弾くということも自分にはできない。これもレッスンで良く言われるが、旋律を歌いながら左手だけで弾く、などという練習方法を提示されても、難しい、というより無理。

無いものをねだってもしょうがないし、他が当然にできることができない自分もしょうがない。この時点で、3つあるという暗譜バージョンのうち、ひとつは失われた。33%ほど、パフォーマンスが他人より低下している自分。ま、しょうがない。

で、残りはアナリーゼの暗譜である。これに賭けるしかない。

楽譜にコードを書き込んだり、和声構造を解読してみたり、ピアノは弾かず楽譜だけを見て脳内でエアーピアノを弾く練習をしてみたり、はたまた楽譜も見ずに脳内で演奏してみたり。脳内だけで演奏をしてみると、次の音が何だっけ?の状態がボロボロでてくる。そうしたら、楽譜を開いて音を確認し、確認した後、再度脳内演奏を繰り返す。こうすることによって、全部とは言わずとも一部だけでも楽譜が映像として記憶されてくる。地道で手間暇のかかる方法だ。しかも、夜ベッドに入ってからもやってしまうと、気になって眠れなくなるというオマケもついてくる。

こうして暗譜の精度をブラッシュアップしていっても、それでもあやふやな所がボロボロでてくる。俗にいう「練習すればしただけ弾けなくなる」状態だ。ひとつ穴をつぶしたと思ったら、すぐに今まで何ともなかったところに穴が開く。穴の大きさは大きかったり小さかったり。時には極小の穴、音にすれば一音の穴。それでも、演奏上ではミスをもたらし、焦り、余計にミスする悪循環に通じる穴。

本番では緊張しているせいか、頭の回転が通常よりも速かったりする。弾いている曲の速度も遅く感じられ、その結果、本番の演奏ではテンポが速くなったりする。でも、頭の回転が亢進した状態なので「次の音なんだっけ?」と考えてしまうような状況がもたらされる。本番まで曲の練習をずっとしているので、結果として逆に、曲を弾きながら何か考えたりする余裕が生じるのだ。練習すればするほど、どんどん弾けなくなるのはこのパターンだったりする。

このパターンをつぶす方法として「ゆっくり弾く練習をする」と言うのがある。

ゆっくり弾くと、時間に余裕があるので「次の音なんだっけ?」な状態が強制的に生じる。これがミソ。本番で頭の回転が冴えわたった状態を再現できるのだ。

よく昔から「ゆっくり弾けなければ普通にも弾けない。ゆっくり弾く練習して」と言われているが、これは半分正しく半分足りない。正確に言えば、曲をゆっくり弾くのではなく「曲として成り立たないくらい遅く、一音一音確認しながら弾く」という事なのだ。曲として遅いテンポで弾いても、手癖の暗譜が機能してしまい、何気なく弾いてしまう部分が多くなる。手癖の暗譜が顔を出さないくらい遅く弾く練習をして初めて、アナリーゼの暗譜確認の効力が発揮されるのだ。最低でも楽譜の指示よりも倍遅いテンポで、できるなら1秒に一音くらいで弾くつもりで練習する。

この練習をしてみると、自分でもびっくりするくらい、全然弾けない。次の音なんだっけ?どころか、今何を弾いているのか、そもそも曲を弾いているのかすらわからなくなってしまい、弾き続けることができなくなったり、茫然として止まったりする。ほんと、びっくり。

それでも、メトロノームを使いながら、ゆっくりゆっくり弾く練習を続け、分からなくなった部分をちゃんと記憶できるように部分練習をし、「次の音なんだっけ?」を少しでも減らしていくように頑張った。

そして、本番では意図せずにスピードアップすることも考慮し、自分にできる限界いっぱいいっぱいまで速い速度でも一日一回は弾くようにした。こうすれば、本番に修復不可能なレベルで速くなっても、もしかしたら対応できるかも知れないから。

こうして迎えた3回目の発表会。今回からはスタイン先生の生徒さんも増えたので会場も少し大きめのホールになった。朝9時から夕方16時まで一日がかりの発表会。ステージのピアノもスタインウェイD274。ちなみに自分はスタインウェイのコンサートグランドを弾くのは初めて。

自分はおそらく一番の年寄りなので、発表会のトリ。自分のソロに加えて、スタイン先生との連弾も弾く。

ドキドキ・・・・

歳をとると、手が震えるような緊張をする機会なんて無くなるけど、こうして緊張しているんだから、逆に楽しまないとね。などと心の中でうそぶきながら本番を迎えた。

結果としては、当然というかなんというか、ミス連発のクソボロ演奏だったけど、途中、頭の中が真っ白になりかかりながらも、完全に真っ白になる事は無く、止まることも弾きなおすこともせずに、演奏を終えることができた。

満足のいく結果では無かったけど、自分の設定した目標は最低限達成されたし、暗譜についても新たな方法も模索できたし、良かったと思う。

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