ではバイエル後半に入ります。ここからはスケールと言って、音階 の練習が入ります。スケールとはドレミファソラシドと順番に音階を 弾く事を言います。バイエルでは1オクターブ(8音)だけのスケールが主な 練習になりますが、音は8個弾かなければならないのに指は5本しか ありません。そこで指をくぐらせる練習をしていきます。
まず、バイエル46ページの上に、「指を上下に動かすための練習」 というのがあります。ここに書かれている指番号の通り、楽に弾けるように なるまで何回も練習してください。そして楽に弾けるようになったら その横にある「音階練習」をします。スケールを弾くためには、右手の場合、 3の指まで音を弾いたら1の指を3の指の下にくぐらせてまた弾き始めます。 1→2→3→1→2→3→4→5という指の順番でスケールを弾くのです。 上から降りてくる時は今度は3の指を1の指の上を回らせて、逆の順序 になります。この指の順番は決まりごとですので必ず守ってください。 コツとしては、上がっていく時の場合、2の指で打鍵しているときにくぐらせ始め、 3の指を弾いた瞬間には1の指が次の鍵盤の上に来ているようにします。 そして1の指を弾いたら、すばやく基本の手のフォームへ戻し、弾き続ける ようにします。1の指をくぐらせるとき、肘が開いたり上がったりしないように、 手首を使うようにします。フォームをあまり気にせずに進んできて、弾くときに ガチガチに固まってしまうと言う人はスケールは中々弾けるようにならない でしょう。なるべく力を抜いて手首を柔軟にし、かつ素早く指を運ぶ ように練習します。左手の場合も、1の指がくぐり、3の指が上を回る のは右手とまったく同じです。しかし、ユニゾンでスケールを弾く場合、 手の構造上、当然ながら指を回しこむ音が左右でずれます。頭がゴチャゴチャ になりやすいので、まずゆっくりと落ち着いて、頭の中を整理し、次に来る 音を思い浮かべながら練習するようにしてください。スケール練習の キーワードは、脱力と柔軟・そして「慣れ」です。そして、一番気をつけなければ いけない点は、指をくぐらせたりするときに、弾いている音が途切れない ように、滑らかに音をつなげて弾く、と言う事です。これはとても難しく、 たくさん練習が必要でしょう。指が自然に動くように なるまで、何回も練習して慣れてください。
「音階練習」が終わったら「ハ長調音階」にすすみます。前の音階練習 が出来ていれば問題なくクリアできます。ハ長調のスケールはすべての 調のスケールの基本です。ハ長調のスケールが弾けなければ他の調の スケールも絶対に弾けるようになりません。このハ長調音階の練習は この先に進んでも一日に一回くらいは弾き続けるようにしてください。 そしてバイエル65番ですが、音階練習と内容は同じなのでスケールさえ 出来るようになれば弾けたも同然です。
2021年追記注 ロシア系の重量奏法では、いわゆる「指くぐり」はしない事が多いです。手首の回転を利用して、指をくぐらせるというより「指を運んでいく」感じです。
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