その3のつづき
ピアニスト先生は、曲の指導そのものにも癖?があった。
まず、楽譜に一切書き込みをしてくれない。2台並んでいるグランドピアノの一つは先生専用で、生徒は触らせてもらえない。ピアニスト先生は、その先生専用ピアノに着席していてそこから移動しないから、書き込みどころか下手すると生徒用の楽譜すら見てない。
なので、覚えきれないほど数多のご指示は、当然その場の口頭だけで、記録に残らない。
まぁ、記録に残らなくても頑張って覚えて帰れば良いのだけど、問題はここから。
ピアニスト先生は、非常に理詰めで長々と説明する割には、指導内容が一貫しないのだ。その場その場で思いついた事を指示している感じ? その時の気分なのか、その時の感性なのかは分からないが、毎週毎週言うことが変わる。
「ここはたっぷりレガートで弾いて」と言われたのに翌週になると「ここはノンレガートで」
「ここは盛り上げてクレッシェンドで」と言われたのに翌週は「もっと平坦に弾いて」
「そこは流れを断ち切らないように」と言われたのに翌週は「そこにタメを入れて」
終始こんな調子。最初は自分の聞き間違いか記憶違いか、そんな事なのかと思いながら、都度都度言われるままに弾きなおしてた。でも、あまりに毎週続くので、さすがにおかしいと思って、レッスンが終わって自宅に帰ってから、忘れないうちにピアニスト先生の指示を、楽譜に日付入りで書き込むことにした。
そうしてみたら、やっぱり毎回言うことが違う。私の目の前にはその証拠があるのだが、なにせピアニスト先生は自分の席から移動しないので、私の楽譜を見ることもない。なので、ご自分の矛盾に気づくこともなく、相変わらず毎週毎週、ありとあらゆる御指示が乱れ飛ぶ。
家で練習するときも、いったいどういう風に弾けばよいのか、混乱の極み。。なにせ、同じフレーズの所でも相反する指示のオンパレード。日々練習する度に、叫びそうになってた。つか、正直言えば、いい歳こいて、叫んでた・・・
いったい、どうせぇっちゅーねん!
強制的に弾かされる羽目になったソナチネ。ツェルニー40番と同じく、ただの一度もマルをもらえないまま、2曲同時進行でやってたのだけど、そのうちの一曲、ソナチネ12番の一楽章は、開始からダラダラと2か月に差し掛かろうとしてた。
ピアノノイローゼ?になりかけてたし、毎週毎週、達成感ゼロ。つか、むしろ虚しい。。一体何のためにピアノを再開したのか。。。
そんな状態の中、ピアニスト先生は暢気に
「最近ピアノの音がきれいになってきたね。特に基礎練習なんてしなくても、曲を弾いていれば、こんな風に成長していくよ」
などとおっしゃる。いやいやいや、基礎練習は自分でこっそり毎日毎日してますけど?って言いたかったけど、なんかもう面倒くさかったので、「ピアノ入れ替えたからじゃないですかねぇ」などとお茶を濁しておいた。
もう、ほとほと疲れた。
んで、ソナチネ12番の一楽章、2か月やっても終わらなかったら、もう先生を替えよう!と決意し、その2か月満了にあたる日のレッスンに行く・・・予想通りというか、案の定、いつものように相反する御指示をいただいた後、じゃぁまた来週というタイミングで、多忙を理由にピアニスト先生の所をやめた。
レッスン再開後、4か月で。
正確には、レッスン再開4か月めに入ったところで辞めることを伝え、そのまま休んで月末にやめた。
ピアニスト先生のレッスンは、実質3か月で幕を閉じた・・・
つづく
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