初めてピアノを褒められた件

ピアノメインの音楽関係

今年に入って6回目の人前ピアノ演奏があった。

ここのところずっと、常に追われるようにピアノを練習していて、正直言えば、疲れている。

自分の普段のレッスン練習も心行くまで出来ないし、基礎練習なども、出来が悪かったからもう一回弾いてみようと思っても時間が無く、ちゃんと細かい練習まで到達できないまま、日々を終える感じ・・・

納得のいくようなピアノの練習ができず、ただただ消化試合のような状況にストレスが溜まり、常に何かが足りない状態。これを世間ではスランプと言うのかも知れない。

もともと人前でピアノを弾きたいと思ってレッスンを再開した訳ではないし、コンサートに出演するなど思ってもみなかったし、ましてや、こんなに短期間に幾度も演奏する機会が訪れるなんて、いまだに何かの間違いかと思うレベルの事。現実に起こっている事なのに、最近はどこか他人事のように感じられるようになってきて、我ながら少しヤバいかも?と思い始めていた。虚無感というか浮遊感と言うか、なんか、どうでもいいや的な・・・

この間なんて一週間のうち4日、ピアノを一切練習しないという状況になってしまった。ピアノを再開してから、こんなにピアノを触らなかったのは初。スタイン先生のレッスンに行ったけど、一週間前から何も練習が進んでいないためレッスンにならず、ずっと雑談、というか、スタイン先生に1時間愚痴をこぼしてしまい、さらに自己嫌悪に陥ったり。

こんな状況でも、時間は過ぎていく。いくら強制的に出演させられるコンサートとはいえ、来てくださる観客などの方々にとっては、演者の精神状態など関係ない。最低限度であったとしても、曲は仕上げなければ。

曲は、「数曲弾け!」という重圧をなんとかはねのけて一曲のみ。そして、シベリウスの小品。1月、4月、5月ともシベリウスを弾いて、今回でシベリウス4曲目。我ながら、シベリウス協会の回し者か?と思うくらい、シベリウスを弾いているw

シベリウスは、交響詩フィンランディアで有名な通り、フィンランドの作曲家。そして、国民楽派と言われるように、民族的な音階やリズム、和声などを多用して作曲している。このシベリウスだが、オーケストラだけじゃなくて、ピアノ曲も多数作曲しており、日本では少ししか出版されていないが、海外では結構楽譜が存在しているので、いま手元にあるシベリウスの曲集も輸入物が多い。8冊くらいはあるかな・・・

自分は海外には行ったことがないので、もちろん北欧も行ったことが無いが、気候は北海道に似ているらしく、Youtubeなどで北欧系の動画をみてみても、景色が北海道とそっくり。なので、北海道出身の自分としては、このシベリウスの、どこか少し寒いようなピンと張りつめた透明感みたいな曲の感じが、非常に心に響いてくる。

曲を仕上げるという事に当たっては、なんかキリがないというか、練習しても練習しても、いつもどこかミスったり、弾けたと思っても次の日とかに弾けてなかったりして、どこまで練習したら良いのか、という基準みたいなものがなかなか持ちにくい。で、曲が仕上がったかのひとつの目安として、その曲をその日まだ一回も弾いていない状態で、部分練習なども一切せず、いきなり曲を演奏した時の状態が本番の演奏に近い、と言うのがあるらしい。なので、曲の仕上がり具合をチェックする方法として、その日初めての演奏を動画に撮ってチェックする、というのを行い、判断材料にしている。

こうして録画したのを客観的に観て、安心したり、もっと練習したりを繰り返す。ま、そうは言っても、思う通りにはならないんだけど・・・・

で、本番数日前に、チェックのために撮影した動画↓
興味のある方はどうぞ

N20210704sibelius

で、実際の本番は、なんかどうでもいいモードのせいか、あまり緊張もしていなかったのだが、それでもミスはあったし、想定より少し速めのテンポにはなってしまったが、まぁ、こんなもんでしょ、という感じで終了。

本番の会場のピアノは、スタインウェイのBタイプ。スタインウェイと言っても、会場での管理状態も悪く、中もさびていたりアクションも痛んでいたりと、弾き心地は悪かった。リハーサルも無しでいきなり弾いたせいもあって、想像と違った感じの音が出てしまったりと多少戸惑ったりしたが、聴いている人には全然わからなかったとの事。

スタインウェイは、遠鳴りするから弾いている人に聞こえている音と、客席で聴く音は全然違う、などと言われたりするが、そういうことなのかも。自分のレベルじゃ、よくわからない・・・

で、コンサートも無事終了して観客をお見送りしている時、見知らぬおばあちゃんが話しかけてきた。

「とっても素敵で良かった。1曲だけじゃなくてもっと演奏を聴きたい。ぜひ今度は数曲弾いてください」などとおっしゃる!

お世辞とは言え、見知らぬ人にピアノを褒められるなど、生まれて初めてな気がする。見知った人になら、お世辞を言われることも普通にあるが、知らない人が、わざわざ話しかけて来てくれて褒めてくれるなんて、いくらお世辞とわかっていても、とても嬉しいものだ。

正直言って、ピアノを人前で弾くのが苦痛すら感じるようになって来ていたので、なんか救われた感じ。

人間って、結構単純だw

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